FIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「経済的自立と早期退職」を意味し、資産運用によって経済的な自由を得て、早めに退職し自由な時間を手に入れるライフスタイルです。今回は、FIREムーブメントの背景と、増え続ける多様なスタイルについて紹介します。
FIREムーブメントの背景
FIREは1992年にアメリカで出版された『Your Money or Your Life』という書籍から始まりました。この本は、消費社会から脱却し、収入と支出を見直すことで経済的自立と自由な人生を手に入れるという考え方を提唱しました。この思想が広がり、2008年のリーマンショックをきっかけにFIREへの関心が高まりました。特に「Mr. Money Mustache」というブロガーが、節約と投資を通じて30代で早期退職を実現し、その具体的方法を発信したことがFIREムーブメントを後押ししました。
FIREの基本ルール:4%ルール
FIREの実現には「4%ルール」と呼ばれる資産運用の目安があります。これは、年間生活費の25倍の資産を築き、その資産から4%を引き出しながらも運用を続ければ、元本を維持しつつ生活費をまかなえるという考え方です。例えば、年間生活費が400万円なら、1億円の資産を運用することで生活を維持できる計算になります。
増え続けるFIREの多様なスタイル
FIREにはいくつかのスタイルがあり、近年さらに多様化しています。自分に合ったスタイルを選ぶことが、FIRE成功のカギとなります。
1. Aタイプ:完全FIRE
- Fat FIRE: 豊かな生活を目指すFIRE。資産収入のみでゆとりある生活が可能で、多額の資産が必要。
- Lean FIRE: 必要最低限の生活費で運用収入のみで生活。シンプルなライフスタイルが前提。
2. Bタイプ:補助的収入を持つFIRE
- サイドFIRE: 資産収入だけでは足りない場合、パートタイムで不足を補う。
- ノマドFIRE: 低コスト地域を転々としながら、必要な収入をパートタイムで得る。
3. Cタイプ:会社に所属しながらも経済的自立
- パイロFIRE: 会社に所属しつつ資産収入で生活可能な状態。自由に早期退職できる選択肢を持つ。
4. Dタイプ:会社の収入で補うFIRE
- バリスタFIRE: 資産収入だけでは足りないため、会社での収入を補完。
- コーストFIRE: 必要な老後資金を積み立て、定年まで労働を続ける。
5. Eタイプ:一時的FIRE
- フラミンゴFIRE: 資産を半分程度築き、運用で資産増加を待ちながら一時的に早期退職。
- ミニFIRE: 一定期間を決めて資産収入のみで生活。その後、必要に応じて再び働く。
6. その他のユニークなFIREスタイル
- DIY FIRE: 自分で修理やDIYを行い、生活費を抑えるスタイル。
- コミュニティFIRE: 地域社会やコミュニティとのつながりを重視し、貢献活動を楽しむスタイル。
- クリエイティブFIRE: 退職後の時間を活用し、アートや音楽などの創作活動に取り組む。
日本におけるFIREの特徴
日本では、安定した雇用を重視する文化的背景があるため、完全な退職ではなく、パートタイムで働きながらFIREを目指す傾向があります。また、親にFIREの決意を伝えることを悩む人も多く、家族や周囲の理解がFIRE達成の重要な要素として捉えられています。
増殖するFIRE辞典
FIREには、さらに多様なスタイルがあり、それぞれの人のライフスタイルや価値観に合わせた独自のFIREスタイルが生まれています。「60才のFIRE辞典」では、これらのスタイルを辞典形式で紹介し、幅広い選択肢を提案しています。ドラえもんの秘密道具のように、いろいろなFIREスタイルがあることで、読者自身の理想のライフスタイルを見つけるヒントになるかもしれません。
まとめ
FIREは単なる「早期退職」ではなく、経済的自由を手に入れることで自分らしい生活を実現する手段です。FIREムーブメントの発展とともに、自分に合ったスタイルを見つけ、計画的に資産形成を進めることが大切です。
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